交通事故の『休業損害』に関するお役立ち情報

1 主婦の方でも休業損害はもらえます!

 交通事故の賠償の世界では,家事労働にも対価は発生していると扱われます。
 1人暮らしの方の場合の,自分のためだけの家事労働に関しては,なかなか主婦の休業損害は認められないのが実情です。

 現に家族のために家事労働に従事している者は,家族関係だからこそお給料を出してもらえないだけであって,業者などに頼めば費用が発生するのだから,サラリーマンの方と同じように,家事労働に影響がでた部分については,休業損害が発生すると主張し,実際に賠償してもらうことができます(最高裁判例昭和50年7月8日参照)。

2 家事労働の基礎日額は約1万円になることもある

⑴ 女性の主婦,男性の主夫の場合

 どちらの場合も,女性の平均賃金と同じくらいの対価を稼いでいると考えます。

 例えば,令和元年賃金センサス・女性・学歴計・全年齢の金額は,約388万円ですので,1年365日で割ると,日額約1万0630円となりますので,1日約1万0630円の損害が発生したとして請求することが可能です。
 しかし,入院ならまだしも,通院だけの場合には,家事に対する支障の程度が少ないとして,その何割かしか認められないこともあります。

⑵ 高齢主婦の場合

 年齢別の平均賃金で算定されるため,⑴の場合より低い金額となることがあります。

⑶ かなりの高齢者の場合

 身体状況や家族との生活状況を考慮して,賃金センサスの金額の何割かに減額されることがあります。

⑷ 自賠責基準

 ア 令和2年3月31日までに発生した事故……日額5700円
 イ 令和2年4月1日以降に発生した事故………日額6100円

3 休業日数について

⑴ 家事労働

 家事労働については,基本的には毎日行われていますので,痛みやしびれが続いている限り,完治した日ないし症状固定日までは毎日影響がでていると考えられます。
 保険会社の担当者によっては,通院日しか家事労働に影響はないと算定して主張してくることもありますが,理屈的には少しおかしいと思います(金額面で妥当であれば問題ありません)。

⑵ 事故日から症状固定日までの〇割

 裁判所の和解案などでは,事故日から症状固定日までの期間の〇割と認定されることが多いです。
 実際に,家事労働が毎日どのくらいの割合で支障がでていたかなどは,数値化するのは現実的でないため,裁判所としては,おそらく合計〇万円~■万円の範囲と決めて,計算式は後付けて決めているのかもしれません。

⑶ 逓減方式(ていげんほうしき)

 逓減方式では,ケガの症状が少しづつ回復することに目をつけて,例えば,事故日から1か月目までは80%支障あり,2か月目から3か月目までは60%支障あり,4か月目から6か月目(症状固定or完治日)までは20%支障がでていたなどと擬制して計算することもあります。
 逓減方式では,よく意味を理解していない保険会社の担当者の方からは,家事労働が本当に80%も影響でていたかは疑わしいなどと主張されることもありますが,あくまでも擬制,フィクション,便宜上そのくらいの支障があったと考えるだけですよ,と説明すると納得してもらえることもあります。

4 主婦の休業損害の交渉

 家事労働の休業損害については,交渉の仕方によっては何十万円も違ってきます。

 長野にお住まいの方は,当法人までお気軽にご相談ください。

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